コラム

ミシンの針が折れる原因と防止策

2025年02月03日12時56分

ミシンの作業中、針が折れたことはありますか? 突然針が折れると、針先が飛び散ったり、周りを傷つけたりして危険です。事故を防ぐためにも、針は折れる前に交換しなくてはなりません。

とはいえ、針折れはミシンに慣れた人にも起こり得るトラブル。さらに初心者にとっては、針を交換するタイミングを図るのも難しいものですよね。

そこで今回は、針が折れる原因や防止策、折れてしまったときの対処法まで、詳しく解説します。初心者も日常的にミシンを使う人も、針の事故を防いで、安全で快適にミシンを楽しんでくださいね。

ミシンの針が折れる主な原因とは

作業中に生地を強く引っ張ったり、無理な縫い方をしたりするのは、針折れの原因のひとつです。しかし布の扱いが正しい場合でも、針は折れることがあります。

まずは、針が折れる主な原因を見ていきましょう。

1.針の取り付けが不適切

ミシン針は正しい位置に、確実に取り付けなくてはなりません。

針が奥までしっかり差し込まれていない場合や、取り付け時に角度がずれていると、縫い始めの衝撃や布地の抵抗で針が折れやすくなります。留めネジの締め付けが緩いときも、針がぐらついて、折れる原因となります。針を取り付ける際は必ず取扱説明書の手順に従い、確実な装着を心がけましょう。

ミシンの扱いに慣れていないうちは、針の向きにも注意が必要です。ミシン針には平らな面と丸い面があります。ほとんどの家庭用ミシンでは、平らな面が後ろです。向きが違うと、針がしっかり固定されない原因となります。

また急いで針を取り付けようとすると、取り付けが不完全になりがちです。丁寧に作業する習慣をつけましょう。

2.針の種類が布地に合っていない

針は、布地ごとに使用する種類が違います。布の厚みや素材によって、適切に縫えるように針の太さや形が整えられているのです。たとえばデニムや革などの厚手の生地を縫う際には、強度のある、太い針を使用します。普通地用の細い針を使用すると針に過度な負荷がかかり、折れてしまうかもしれません。

またニット用の生地に普通針を使用すると、針が折れるリスクが高まるだけでなく、生地を傷めることにもつながります。

必ず布地の厚さや特性に合わせて、適切な針を選びましょう。

3.針が劣化している

ミシン針は消耗品です。定期的に取り換える必要があります。

長期間使用した針は、目に見える変形や損傷がなくても、内部が劣化して強度が低下しているかもしれません。

特に厚手の生地を頻繁に縫う場合や、高速で縫製を行うときは、針への負担が大きくなります。見た目では分からない微細な傷や歪みが蓄積され、突然の針折れにつながるのです。

また針先が摩耗すると、布地を傷めたり、縫い目が汚くなったりする原因にもなります。

使用頻度が低い場合でも、長期間使用していない針は、使い始める前に新しいものに交換するのが安全です。

針を交換し、常に新しいものを使うことも、ミシン全体を長持ちさせるメンテナンスの一環です。

針が折れたときの対処法

針が折れてしまった場合には、適切な対処が必要です。焦って対応をすると、ミシンの故障や思わぬけがにつながる可能性があります。

まずは落ち着いて、冷静に対応しましょう。

1.作業をすぐに中断する

針が折れたら、まずは作業を中断します。ミシンの電源をすぐに切り、フットペダルから足を離して、針の動作を完全に停止させましょう。誤って作動しないように、コンセントも抜いておくと良いでしょう。

焦って布地を引っ張ったり、ハンドルを回したりすると、折れた針の破片がミシン内部に入り込んでさらなるトラブルの原因となります。布地はそのままの状態で、針板の上や周辺に飛び散った破片がないか、慎重に確認してください。

このとき破片で手を切らないよう、必要に応じて手袋を着用するなど、安全面にも十分注意を払いましょう。針の破片は小さいため、明るい場所で作業するのがオススメです。

2.針の破片を探して取り除く

折れた針の破片は、できるだけすべて回収してください。まずは布地の表裏を丁寧に確認し、刺さっている破片がないか探します。次に針板周辺や釜の部分を、注意深く点検しましょう。破片が見つかったら、ピンセットなどを使って取り除きます。紙の上など、わかりやすいところにまとめておきましょう。

ミシン内部に破片が入り込んだ可能性がある場合や、破片が見つからない場合は無理に探さず、専門店に相談してください。

内部に残った破片は、ミシンの故障や次の縫製時のトラブルの原因となる可能性があります。針の破片が見つからないときは、作業を再開せず、そのまま修理に出してくださいね。

3.適切な針に交換する

破片をすべて回収できたら、新しい針に交換します。折れた針は紙に包み、針先部分が露出しないようにして、自治体の回収方法に従って処分してください。

新しい針は布地に適した針を選び、正しい手順で取り付けることが重要です。最後まで確実に取り付け部分に差し込み、留めネジでしっかりと固定します。取り付け後は、手でハンドルをゆっくり回して、針が正しく上下動するか確認しましょう。

このとき、異常な抵抗や音がないことも確認してください。異変がある場合は、ミシン自体のトラブルかもしれません。

また試し縫いをして、縫い目に問題がないかも確認することをオススメします。新しい針を取り付けた後は、これまでの縫製方法を見直し、針折れの原因を取り除くよう心がけましょう。

針折れを防ぐための具体的な対策

針折れは適切な予防策を講じることで、大きくリスクを減らすことができます。安全なミシン作業のためにチェックしてほしい、5つのポイントをまとめました。

1.正しい針の選び方

ミシン針は布地の種類や厚さによって、適切なものを選ぶ必要があります。薄地には9番、普通地には11番、厚地には14番以上の針を使用するのが一般的です。いろいろな布を使う予定のある人は、針も一通りそろえておくと安心です。

また生地の特性によっては専用の針があります。例えばニット生地にはニット用の針、革には革用の針というように、それぞれの素材に適した針を選択するのです。わからないときは、手芸単やミシン専門店のスタッフに尋ねてみましょう。

針の太さや種類が合っていないと、生地を傷めたり、針折れの原因になったりします。特に薄い布用の針で厚地を縫おうとするのは大変危険です。ミシンを購入するときには、扱う予定の布にあった針もそろえておくと良いですよ。

2.針の定期交換

ミシン針は、定期的に交換するものです。普段から予備を用意しておき、古い針を交換したら、次の交換用の針を購入するサイクルを取り入れましょう。

交換時期は、20時間~30時間の使用が目安です。週末に趣味を楽しむ人なら、2~3か月に1回程度の交換頻度になります。

あまり頻繁に使わないという人でも、針の交換は必要です。使用前には新しい針を準備し、古いものと取り換えておきましょう。

針は使わなくても、時間とともに劣化します。「年に何度かしかミシンを使わない」という場合は、使い終わった後に交換するのではなく、必ず使う前に新しいものを用意してくださいね。

3.布を無理に引っ張らない

針が折れる最も一般的な原因は、布地を無理に引っ張ることです。ミシンには布送りの機能が備わっています。基本的には、生地を手で引っ張る必要はありません。送り歯に任せ、自然に布が送られるのを待ちましょう。

特に厚手の生地や複数の層が重なる部分を縫うときは、ゆっくりとしたスピードで縫製するのがオススメです。針の負担を抑えられるだけでなく、生地がずれないので、きれいに仕上がりますよ。

また縫い始めや縫い終わりも、布を強く引っ張りがちな部分です。布地はやさしく押さえ、ミシンのリズムに合わせて自然に送られるようにしてください。

焦って作業を急ぐと、針折れのリスクが高まります。落ち着いて、丁寧に作業しましょう。

4.ミシンのセッティングを確認する

ミシン全体の適切なセッティングも、針折れを防ぐために大きな役割を持つ項目です。特に押さえ金と針の位置関係は重要です。押さえ金が曲がっていたり、高さが適切でなかったりすると、針に余分な負荷がかかります。

また糸調子も、布地の特性に合わせて適切に設定する必要があります。慣れるまでは、縫い始める前に試し縫いをして設定が適切か確認すると良いですよ。

もしも異常な音や動きを感じたら、すぐに作業を中断して原因を調べることが、深刻なトラブルを防ぐポイントです。定期的なメンテナンスも忘れずに行い、ミシンの状態を常にチェックしておきましょう。

5.厚手の布地は工夫する

厚い生地を縫うときは、どうしても針に負担がかかります。適した針を使用しても針が折れてしまうときは、まずはミシンの性能を確認しましょう。

簡易的なミシンでは、そもそも厚手の生地が扱えないこともあります。また、生地自体は薄くとも、何枚も重なると全体に厚みが出ます。そうした場合も、ミシンによっては扱いが難しいのです。厚みが出ないように生地をずらしたり、重ならないレシピを試したりしてみましょう。

頻繁に厚手の生地を扱うときは、ミシンの買い替えも検討してくださいね。

針の種類にも、ミシンの性能にも問題がないときは、ミシンが故障しているのかもしれません。早めに修理に出し、プロに確認してもらいましょう。

まとめ

ミシンの針折れは、正しい知識と適切な予防策で、そのリスクを大きく減らすことができます。重要なのは針の選び方から取り付け方、布地の扱い方まで、基本的なポイントを押さえること。日々の扱いとメンテナンスが、事故を防ぐコツです。

もし針折れが頻繁に起こる場合は、ミシンの調子や使用方法に問題があるかもしれません。専門店での点検や修理を依頼しましょう。正しい知識と適切な予防策で、安全で快適なミシンライフを楽しんでくださいね。

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