コラム

知らないと損する!ミシン針の選び方と交換タイミング

2025年02月03日13時01分

ミシン針は、縫い目の仕上がりや布地への負担に大きく影響する重要なパーツです。定期的な交換が推奨されますが、交換頻度やタイミングは、意外とわかりにくいもの。「どの針を選べばいいのか?」「交換のタイミングはいつ?」いう悩む人も多いのではないでしょうか。

今回は生地や用途に応じた針の選び方から、適切な交換タイミングまで、解説しています。針に関する疑問をなくし、快適にミシンでの作業を楽しみましょう。

針の太さ(号数)を選ぶ

布地の厚さに合わない針を使用すると、生地を傷めたり、針が折れたりするリスクが高まります。まずは、布地の厚さに応じた適切な号数の選び方を見ていきましょう。

ミシン針の号数は、その太さを表す指標です。数字が大きくなるほど針は太くなり、扱える布地も厚手のものになっていきます。

号数の目安は、以下のとおりです。

・9号 薄手の布(シフォン、オーガンジーなど)

シフォンやオーガンジーといった繊細な布地には、9号の細い針が適しています。この針は布地を傷めにくいので、美しい仕上がりを実現できます。ただし細い針は折れやすいので、扱いには注意が必要です。

裁縫時は布を強く引っ張らないよう、優しく作業を進めましょう。

・11号 普通の布(綿、ポリエステルなど)

一般的な布地であれば、ほとんどが11号針で対応できます。普段使いの木綿やポリエステル生地、薄手のウールなど、日常的な裁縫で使用する素材に最適です。

初めてミシンを使う方は、まずこの号数の針を用意しておくと良いでしょう。頻繁に使う号数なので、交換用にまとめ買いしておくのもオススメです。

・14号 厚手の布(デニム、帆布など)

デニムや帆布などの厚手の生地には14号針が適しています。

デニム生地は繊維が密に織られ、丈夫なのが特徴です。裁縫時には負担に強い針が必要になります。

14号針の太さなら、デニムや帆布などのしっかりした生地も扱えます。

・16号以上 極厚の布(革、キルトなど)

革やキルトなどの厚みのある素材は、さらに太い16号以上の針がオススメです。太い針は強度が高く、厚い素材もしっかり縫い進めることができます。

ただし太い針は、布に大きな穴をあけてしまいます。普通の布を縫うときや何度もやり直しをしたいときには、生地にダメージを与えてしまうかもしれません。「大は小を兼ねる」というわけにはいかないので、注意してください。

針の号数を選ぶときは、生地の密度や硬さなども考慮する必要があります。薄手でも密度の高い素材は、やや太めの針を選ぶと安心です。

また初めて扱う布や針で作業に入る前には、まず生地の端切れで試し縫いをすると良いでしょう。針が布地をスムーズに通過するか、縫い目がきれいに揃うかなどをチェックします。もし縫い目が乱れたり、布地が引っかかったりする場合は、号数を変更してみましょう。

なお伸縮性のある生地などの特殊生地は、専用の針が市販されています。次は、専用のミシン針の選び方を見ていきましょう。

針の種類を選ぶ

針は素材の特質にあわせ、必要に応じて専用のものを購入してください。布地の特性に合った専用針を使用することで、縫い目がきれいになり、布地へのダメージも抑えることができます。

主な針の種類とその特徴、適した用途を見ていきましょう。

HA針(家庭用万能針)

最も一般的な家庭用ミシン針です。通常の布地全般に使用できます。綿、麻、ポリエステルなど、一般的な生地で作る小物なら、この針だけで大丈夫です。初めてミシンを使うときも、この針を用意しましょう。

デニム針

デニム用に設計された、強度の高い針です。通常の針より太く丈夫な作りになっています。針先が特殊な形状になっていて、デニム特有の堅い織り目の裁縫に適しています。

厚手で密度の高い生地をスムーズに縫うことができ、針折れもしにくいのが特徴です。デニム生地を使った作品づくりはもちろん、ジーンズの裾上げやリメイクにも活躍します。

レザー針

革や合皮専用の針です。針先が切り込み型で、革特有の硬さに対応できる設計になっています。革の種類や厚みによって適した太さが異なるため、使用する素材をよく確認して選びましょう。

レザー針の最大の特徴は、その独特な針先形状です。一般的な針とは異なる刃物のような形状で、革を切り開きながら縫い進めます。

天然皮革はもちろん、合皮や厚手の化学皮革を使用する際にも重宝します。

ニット針

ニットやジャージーなど、伸縮性のある生地専用の針です。針先が丸く加工されています。ニット生地特有の編み目構造を、壊さないようにするための工夫です。

ニット針は生地を押し広げるように縫い進めることで、編み目を傷めることなく布地を通過します。

Tシャツやスポーツウェアなど、伸縮性のある素材を使った作品づくりに適した針です。生地の伸縮性を損なわずに縫製できて、着心地の良い仕上がりになります。

刺繍針

刺繍専用に設計された針です。針先は丸く、大きな針穴が開いています。糸割れを防いだり、太い糸を使ったりするための仕様です。使用する刺繍糸の太さや生地の種類に応じて、適切な号数を選択してください。

刺繍用のミシンには、初めから刺繍針が付属されています。取扱説明書には推奨の針が指定されているので、迷ったときは指定のものを使いましょう。

このほか、極薄い布地を扱うための細い針や、針先を細くして中綿が出ないようにしたキルト用の針などがあります。

ミシン針の交換タイミング

美しい縫い目を保ち、ミシンのトラブルを防ぐためには、定期的な針の交換も重要です。針を交換するタイミングは、使用頻度や針の状態から判断しましょう。

針の交換を考えるおもなタイミングは、以下のとおりです。

・針が曲がったり、裁縫作業に異変があったりするなどのサインが出たとき

・扱う素材や用途が変わったとき

・針が古くなったとき

それぞれ詳しく見ていきましょう。

1. 針を交換すべきサイン

以下のような症状がある場合は、針を交換するタイミングです。

・針の先端が曲がったり、欠けたりしている

目視で確認できる針の損傷は、すぐに交換が必要なサインです。曲がった針や欠けた針を使い続けると、布地を傷めたり、ミシン本体に悪影響を与えたりする可能性があります。

・縫い目が不揃いになったり、糸が切れたりする

縫い目が乱れ始めたり、糸切れが頻繁に起きるようになったりした場合、針の劣化が原因かもしれません。糸の調子などを調整しても改善しない場合は、針の交換を検討しましょう。

・縫製中に布地が引っかかる、傷つくなどのトラブルが起きる

針が劣化すると、布地の送りがスムーズでなくなったり、布地に不自然な穴が開いたりすることがあります。こうした症状が出始めたら、早めに針を交換することをお勧めします。

・縫っているとき、プツプツと音がする

異音が発生する場合、トラブルが起きている可能性が高くなります。ブツブツという音は、針先の摩耗や破損が進んでいることを示すサインかもしれません。

また、まち針を誤って縫い込んでしまった場合にも同様の音がします。

ミシン針の状態は、縫い目の品質やミシンの調子に直接影響を与えます。ミシンを扱う時は針の状態もチェックし、損傷していたら、すぐに新しいものと交換しましょう。

針の状態は目視だけでは判断が難しいこともあります。使用時の様子をよく確かめ、おかしいと思ったら、早めに針を交換しておきましょう。

2. 布地や用途に応じて交換する

針への負担は、布地の種類によっても異なります。デニムや革などの硬い素材は、針が摩耗しやすい生地です。硬い布などを縫った後は、針を確認し、必要に応じて交換する習慣をつけましょう。

さらに複数の布地や素材を組み合わせた作品を作る場合、針はその都度、適したものに交換してください。誤って種類の違う針で縫うと、作品が破損したり、針が折れたりする事故が起きる可能性があります。

針は、用途にあわせて使い分けるのが基本です。面倒に感じるかもしれませんが、針の交換は作品の質を左右します。作品をより美しく仕上げるためにも、用途ごとに針をそろえておきましょう。

3. 使用時間の目安

針は使用時間に応じて、定期的に交換することが大切です。一般的な目安としては、20~30時間の使用ごとに針を交換することが推奨されます。

とはいえ、これは飽くまでも標準的な使用環境での目安です。厚手の生地を頻繁に縫う場合や、高速での縫製が多い場合は、より短い間隔での交換を心がけましょう。

また使用時間が短くても、長期間放置した針は劣化している可能性があります。保管中の温度や湿度の変化、微細な錆の発生などにより、針の品質が低下することがあるためです。特に湿気の多い場所での保管は、針の劣化を早める原因となります。

新しい作品を始める前には、前回いつ針を交換したかを思い出してみましょう。記憶が曖昧な場合は、新品の針に交換したほうが安心です。

針は消耗品と考えて、交換用の予備を常備しておきましょう。

まとめ

ミシン針は、縫製作業の成功を左右する重要なパーツです。適切な針の選択と定期的な交換は美しい仕上がりを実現するだけでなく、ミシンの寿命を延ばすことにもつながります。

針の号数選びでは、単に布地の厚さだけでなく、生地の密度や特性を考慮することが大切です。ニットやデニムなど、特殊な生地を扱う際は、専用の針を使用することで、より良い仕上がりが期待できますよ。

針の交換タイミングは20~30時間の使用が目安です。ただし長期間使用していない針は、交換をしたほうが安全です。

また縫い目の乱れや異音などは針の劣化を示すサイン。見逃さないようにしましょう。

針の状態に気を配ると、縫製の仕上がりは驚くほど良くなります。正しい針の扱いを覚えて、ミシンをもっともっと、楽しんでくださいね。

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