ミシン糸かけを簡単にする方法|初心者でも安心!

ミシンの扱いに慣れないうちは、一つひとつの操作が難しく感じますよね。特に初心者がつまずきやすいのが、糸かけです。
上糸と下糸をそれぞれセットするのは複雑な操作に思えますが、少しずつ確認しながらゆっくりと行えば大丈夫。コツをつかめば、糸かけはそれほど複雑な作業でありません。
今回は糸かけの手順やコツ、役に立つ道具を紹介します。糸かけをマスターして、思い切りミシンを楽しみましょう。
ミシン糸かけの基本手順
ミシンの糸かけでは、まず上糸をかけ、次には下糸をセットします。ミシンのモデルによって手順やパーツが多少異なることがあります。まずは取扱説明書を確認してくださいね。
ここでは基本的な糸かけの手順を、詳しく見ていきましょう。
上糸のセット方法
上糸のセットは、電源を切った状態で行います。ミシン本体に記載された矢印に沿って、糸を伸ばしていきましょう。針と押さえは上がった状態で作業します。
まず立て棒に糸こまを設置したら、ミシンに記載された案内に沿って糸を通してください。慣れないうちは右手で糸を押さえ、左手で引くようにすると良いですよ。糸の動きは、以下のとおりです。
①糸案内に糸をかける
②糸道へ糸を下ろし、そのままぐるりと上へ持ち上げる
③テイクアップレバー(天秤)に糸をかける
④針の上にある糸かけに通す
⑤針穴に通す
ミシンに記載されている矢印や数字に注意して、順番通りに糸をかけましょう。
下糸のセット方法
下糸のセットは、ボビンの取り付けから始まめます。ボビンは、糸が反時計回りになるように取り付けましょう。
ボビンケースにボビンを入れたら、溝に沿って糸を出します。ボビンケースが取り外せるモデルでは、ケースの穴から糸を出してください。また水平釜の場合は、釜カバーを取りボビンを半時計回りに入れ糸を手前にある溝に入れて向こう側に引っ張っておいてください。取扱説明書を見ながら糸をセットし、釜に戻しましょう。
釜をセットしたら、はずみ車を回して針を下ろします。そのまま回し続けるとテイクアップレバー(天秤)が上がってきて、上糸に下糸が引っ張られて釜の外へ出てきます。糸をほどき、適当な長さに揃えれば、糸かけは完了です。
手順のポイント
糸かけのとき、特に確認してほしいのは糸の方向です。糸の方向が違うと、糸が絡む原因になります。また糸かけの際には押さえが上がっていなかったり、糸かけの順番が違っていたりすると、きれいな縫い目になりません。
糸かけがうまくできたか不安なときは、最初に端切れを使って試し縫いをすると良いでしょう。縫い糸がたくさん絡まるようであれば、上糸を確認してください。糸の調子があっていないときも、縫い目にムラができます。上糸が強いと下糸が表に出て、下糸が強いと上糸が裏に出ます。糸調子もあわせて確認しましょう。
ひとつずつ確認しながら、丁寧に糸をかけみてくだいね。
糸通しを簡単にするための基本のコツ
ミシンの針は固定されています。針を動かせない分、手縫い針より糸を通すのが難しいと感じるかもしれません。
どうしても糸通しがうまくいかないときは、道具をつかうのもオススメです。さらに糸に工夫をしたり、手元を明るくしたりすると、作業がしやすくなります。
また最近のミシンには、自動針糸通し機がついているものもあります。
糸通しを簡単にするためのコツをまとめました。
初心者に役立つ道具
糸通しがうまくいかないときは、自動糸通し機能の出番です。
自動糸通し機能では、レバーを下ろし、糸を指定の位置に添わせるだけで、自動的に針穴に糸を通してくれます。細かな操作方法はモデルによって違うので、取扱説明書を見てくださいね。
また自動糸通し機能がないミシンでも、ミシン専用の糸通し器具あります。針穴に糸通し器を差し込み、糸を引っ掛けて引き出せば、糸が通る仕組みです。「ミシンに付属の機能や器具はなにもない!」というときは、手縫い用の針と押しがあると便利ですよ。
手元が見えづらい場合は、ライト付きの拡大鏡を使いましょう。手元が見やすく、糸通しがスムーズに行えます。
糸の準備方法
針穴に糸を通すときは、糸の先を斜めに切っておくのがオススメです。糸の先を細くしておくことで、小さな穴に入りやすくするのです。糸の先がほつれていたり、つぶれていたりすると、なかなか針に通りません。糸通しを試みるうちに糸の状態が悪くなったときは、ハサミで糸先を切り落としましょう。
また糸をかけるときには、適度な張りを維持することも重要です。糸が緩んでいると絡まったり糸がはずれたりして、せっかく糸を通してもやりなおしになってましいます。
糸通しだけでなく、糸かけ全体の成功率を上げるためにも、糸のたるみをなくしておきましょう。
手元を明るくする
糸通しはもちろん、糸かけをするときには、手元を十分明るくしましょう。手元が暗いと針穴が見づらく、糸通しにも時間がかかります。また作業中も手元が明るくないと、針が落ちたり、不要な布を巻き込んだりしやすくなります。
ミシンを使う時は部屋を明るく、手元も十分見えるよう配慮しましょう。
ロックミシンと職業用ミシンの糸かけ
一般的な家庭用ミシンでは、上糸と下糸の2本を使用します。上糸は本体上部から針まで、下糸はボビンから、それぞれ決められた順序で通すのが基本です。
一方ロックミシンと職業用ミシンは、糸かけの方法が異なります。それぞれの糸かけの方法を、簡単にまとめました。
ロックミシンの糸かけ
ロックミシンは、端の処理などを行うための特殊なミシンです。2本の針と糸を使って縫い上げるミシンで、糸のかけ方も家庭用とは大きく異なります。
ロックミシンの糸かけの主な流れは、以下のとおりです。
①カバーを開け、上ルーパーに糸をかける
②下ルーパーに糸をかける
③それぞれの糸を針に通す
ロックミシンは、糸かけはピンセットなどで通していく機種もあればエアーで簡単に糸かけや針糸通しが出来る機種もあり、構造も家庭用ミシンとは違います。最初は取扱説明書をよく読み、部品の名称や糸の種類を確認しながら作業していきましょう。
職業用ミシンの糸かけ
職業用ミシンは、高速で縫えるように設計されたミシンです。家庭用ミシンより大きな糸立て台があり、太い糸も使用できます。
職業用ミシンの糸かけの主な流れは、以下のとおりです。
①上糸をセットする
②糸案内の穴に糸を通し、かける
③糸調子ダイヤルに糸を通したあと、案内に従って、糸をかけていく
④針穴に糸を通す
⑤家庭用ミシンと同じように、セットした下糸を引き出す
基本的な糸かけの仕組みは家庭用と似ていますが、職業用ミシンは上糸のかけ方が少し複雑です。ゆっくり確認してくださいね。
よくある失敗とその対処法
糸かけが失敗する原因は、主にミシンの設定ミスやメンテナンス不足です。正しい設定になっていなかったり、ゴミが溜まっていたりすると、作業中のトラブルに発展することも少なくありません。
ここではよくあるトラブルと、その解決方法を見ていきましょう。
糸が絡まる場合
糸が絡んでしまう原因は、主にいとかけ糸調子糸くずにあります。
まずは糸調子ダイヤルの設定を確認しましょう。多くの場合、布地に合わせた適切な強さに調整することで、トラブルが解決します。また糸がたくさん出てタオル状に絡まるときは、上糸のかけかたがを間違えていることが原因かもしれません。糸のかけ方もチェックしてくださいね。
糸調子が正しいのに糸が絡む時は、釜の中を確認しましょう。ミシンを使っているうちに糸くずが溜まると、やはり糸が絡む原因になります。釜はこまめに掃除し、たまった糸くずを取り除いてくださいね。
針穴に糸が通らない場合
糸が針穴に通らないときは、まず糸の状態を確認しましょう。糸先がほつれていたり、折り目がついていたりすると、針穴に通りにくくなります。糸先の状態が良くないときは、斜めにカットしなおしてください。
それでも糸が通らない場合は、針の状態を確認します。古くなった針は、糸が通りにくくなっているかもしれません。
長く使い続けた針の使用は、作品の仕上がりに悪い影響を与えます。針は消耗品として考え、定期的に交換しましょう。家庭用のように自動針糸通し機のある機種もあります。
下糸が引き出せない場合
下糸が上手く引き出せない時は、上糸と下糸の関係に問題があるかもしれません。まず上糸が、テイクアップレバー(天秤)まできちんと通っているか確認しましょう。上糸が正しく通っていないと、下糸を引き上げることができません。また針を下ろす作業を何度か繰り返すと、上糸にうまく下糸が絡まることもあります。
ボビンの向きも重要です。ボビンケースに入れた時、糸が反時計回りに出てくるよう設置されているか確認してください。向きが逆だと、下糸がスムーズに出てきません。正しい向きに直し、もう一度下糸を引き出してみましょう。
まとめ
糸かけのポイントは、以下の3つです。
①上糸は案内に沿って、順番通りにかけていく
②下糸は、ボビンの向きを正しくセットする
③糸通しは糸を斜めにカットし、やりづらいときは道具を使う
糸かけはミシン作業の基本。最初は難しく感じるかもしれませんが、手順を押さえれば、誰でもできるようになります。どうしてもうまくいかない場合は、便利な道具を活用しましょう。
もし失敗しても、慌てずに原因を特定して対処してください。丁寧に作業を進めれば、スムーズな糸かけができるようになりますよ。