フリーモーション刺繍に挑戦! 基本テクニックや作品例をチェック

自由な線と創造性で、布地に絵を描くように刺繍できるフリーモーション刺繍。近年のDIYブームでオリジナルの作品に関心が高まる中、フリーモーション刺繍の人気も高まっています。
今回は初めてフリーモーション刺繍に挑戦する人も失敗なく楽しめるよう、基本的なテクニックやおすすめのミシンをまとめました。
フリーモーション刺繍の魅力とは
フリーモーション刺繍は、ミシンの送り歯を下げ、自由に布を動かして行う刺繍技法のことです。
一般的には刺繍枠を使いますが、キルティングに応用してフリーモーションキルティングとして楽しむ人もいます。
まずはフリーモーション刺繍の特徴や魅力を見ていきましょう。
フリーモーション刺繍は「自由に描ける」刺繍
フリーモーション刺繍は、その名の通り「自由な動き」で布に模様を描いていく技法です。通常のミシン縫いでは、布送り歯が布を一定方向に送り出すため、直線やジグザグなど一定のパターンしか表現できません。しかしフリーモーション刺繍では、布送り歯を下げることで縫い手が布を自由に動かせるようになります。
布地の上に自由に「描く」感覚で刺繍を施せるため、一般的な刺繍より直感的で創造的なアプローチといえるでしょう。
DIY作品との相性もよい
フリーモーション刺繍は、あらゆるDIY作品とも相性のよい技法です。クッションカバーやタペストリー、テーブルランナーなどのインテリア雑貨はもちろん、オリジナルロゴとして、商業用の作品に活用することもできます。フリーモーションキルティングでは、オリジナル模様のキルティングを使った作品づくりも楽しめますよ。
フリーモーション刺繍の良さは、初心者から上級者まで、それぞれのレベルで楽しめるところです。単純な線や形から始めて、徐々に複雑なデザインに挑戦していくこともできます。自由度の高さは、まさに「フリーモーション」だからこそですね。
フリーモーション刺繍に必要な基本テクニック
ここでは、実際に始めるために必要な基本テクニックを見ていきましょう。適切なミシン設定からステッチの基礎知識、上達のための練習方法まで、まず押さえておきたいポイントをまとめました。
ミシンの基本操作と設定
フリーモーション刺繍を始めるには、まずミシンの正しい設定が重要です。設定の主なステップは、以下のとおりです。
①布送り歯を下げる
フリーモーション刺繍ができるミシンは、布送り歯の調整機能がついています。専用のレバーやダイヤルを使って布送り歯を下げることで、布を自由に動かせるようにするのです。
②専用の押さえに交換する
ミシンには、専用のフリーモーション用押さえを取り付けます。これは通常のものより視認性が高く、布の動きを妨げない設計になっています。「ダーニング押さえ」や「キルト押さえ」と呼ばれることもあります。使用するミシンに合った、適切なものを選びましょう。
③糸調子を調整する
上糸と下糸のバランスを整えます。まずはミシンの標準設定から始め、試し縫いをしながら少しずつ調整していくのがコツです。表面から下糸が見えたり、裏面から上糸が引っ張られたりする場合は、糸調子を調整しましょう。
針や糸は、刺繍用のものを使うとよいでしょう。作品にあわせた道具や細かな設定がわからないときは、専門店でスタッフに相談してみてくださいね。
ステッチの基礎知識
フリーモーション刺繍では、縫い線を自在に描けます。まずは直線や曲線などの基本的な線の引き方をマスターしましょう。
■直線
直線を引く際のポイントは、視線を常に針の先ではなく、進みたい方向の終点に向けることです。布を両手で軽く押さえ、一定のスピードで動かすことで、まっすぐな線が引けます。
最初は遅いスピードで練習し、布の進み具合と手の動きの連携を身につけていきましょう。
■曲線
滑らかな曲線を描くコツは、布を少しずつ回転させながら進めることです。大きな動きではなく、小さな角度の変化を連続させることで、なめらかな曲線が実現します。
手首の柔軟な動きを意識して練習しましょう。
■角
角を表現する場合は、針を布に刺した状態で一旦止め、布の向きを変えてから再開するとシャープな角になります。これは普通の縫い方でも使われる、基本的なテクニックです。
ステッチの密度も、作品の印象を左右する重要な要素です。線の密度を変えることで、影や立体感を表現できます。手の動きや針の進む速度を見ながら、線を重ねて縫っていきましょう。
練習用のパターンとポイント
フリーモーション刺繍では、まず基本的な動きがスムーズにできるようになることが大切です。慣れるまでは練習パターンをつくり、繰り返し練習してみましょう。
まず方眼紙のような格子状のパターンを布に描いて、それをなぞる練習から始めるのがおすすめです。直線を縦横に縫う単純な動きを繰り返すことで、手の動きと布が連動する感覚をつかんでください。
次に波線や円、渦巻きなどの基本的な曲線パターンに挑戦してみましょう。こうした形は、刺繍デザインの基礎となります。特に円を描く練習は、あらゆる方向への布の動かし方をマスターするのに役立ちます。「8の字」を、繰り返し描いてみましょう。
フリーモーション刺繍は、上達するまでに時間がかかることもあります。しかし少々歪んだ形も、手作りの良さです。少しずつ理想の形に近づけながら、フリーモーションならではの造形を楽しんでくださいね。
ミシンの機能とその活用方法
フリーモーション刺繍を楽しみたいときは、まずミシンに適した機能があるかどうか確認する必要があります。
フリーモーション刺繍に適したミシンの特徴と、おすすめの機種を見ていきましょう。
フリーモーション刺繍対応のミシンの特徴
フリーモーション刺繍ができるミシンには、布送り歯の調整機能がついています。針を細かく布を動かして模様を作るので、針位置を制御できる機能も必要です。
また作業台の部分が広いほど、大きな作品も扱いやすくなります。特に大きなファブリックアートやキルトを作る予定がある場合は、拡張用の作業台などもあると便利です。
細かい作業には、十分な明るさも必要になります。LED照明で針元が明るく照らされるモデルなら、細かいデザインも正確に縫うことができますよ。
こうした細かな使い心地や機能性は、実際に実物を見ないとわからないところです。購入の前には店頭で実物を確かめ、必要に応じて試し縫いをして、使いやすさをチェックしてください。
フリーモーション刺繍におすすめのミシン
フリーモーション刺繍に適したミシンは、老舗メーカーのジューキをはじめ、多くのメーカーから発売されています。ここでは、フリーモーション刺繍に特におすすめのモデルをまとめました。
ジューキ HZL-EX7・HZL-F400JP
国内メーカーのジューキは、工業用ミシンの技術力を家庭用ミシンに活かし、安定した縫製品質に定評があります。
「HZL-EX7」は、家庭用ミシンの中でも高性能な上位機種です。送り歯を下げてのフリーモーション刺繍はもちろん、フロートモードでは押えをわずかに浮かせた状態で縫え、キルティングの縫製にも便利です。
「HZL-F400JP」はレバー操作で布送り歯を下げれば、フリーモーション刺繍も可能です。
広い作業スペースと明るいLEDライトを備えて、初心者から上級者まで長く使える一台です。
【JUKI】 HZL-EX7はこちら
https://www.juki.co.jp/household_ja/products/list/home/hzlex7.html
【JUKI】 HZL-F400JPはこちら
https://www.juki.co.jp/household_ja/products/list/home/hzlf400jp.html
ジャノメ C6300・セシオ9720P
ジャノメも人気の高いミシンメーカーです。誰でも使いやすい操作性の高さに定評があります。
「C6300」は振動が少なくて縫いやすいのが特徴のモデル。ソーイングスペースも広く、大きな作品も作りやすい機種です。
「セシオ9720P」は刺繍に特化したモデルです。ピーターラビット(TM)の模様が100種類も搭載されています。もちろん、フリーモーション刺繍も得意です。既存のデザインと組み合わせれば、創造性は無限に広がります。
【JANOME】ルシェールC6300 はこちら
https://www7.janome.co.jp/sewing_machine/normal/lechere-c6300/
【JANOME】セシオ9720P はこちら
https://www.janome.co.jp/sc9720p/
機能のカスタマイズとオプション
フリーモーション刺繍では、オプションパーツを使いこなすことで、さらに豊かな表現が可能になります。刺繍枠や押さえなど、作品にあわせたものを選びましょう。
また、パソコン用のソフトウェアと連動させて刺繍の模様をデザインできる機能もあります。自由に描きたい箇所はフリーモーション刺繍で、細かな部分はコンピュータで、と使い分けるのもよいですね。
キレイな縫い目で快適に使い続けるためには、メンテナンスも必要です。毎日の掃除に加え、定期的に油を差したり、専門家のチェックを受けたりしましょう。
フリーモーション刺繍は、繊細な動きが命です。便利な道具を使いこなし、丁寧に扱うことで、作品のクオリティもあがりますよ。
フリーモーション刺繍に向いている作品
フリーモーション刺繍は、実際にはどのような作品に応用できるのでしょうか。フリーモーション刺繍と相性のよい作品には、以下のようなものがあります。
■アートパネル
■ファブリックアート
■オリジナルウェア
■トートバッグ
フリーモーション刺繍は、絵を描くような感覚で作品を作れるのが特徴です。日用品だけでなく、アート表現にも挑戦してみましょう。
ファブリックアートなどのインテリア小物も人気です。クッションカバーやテーブルクロスに季節の花や幾何学模様を刺繍するだけで、世界に一つだけの特別なアイテムになりますよ。
またウェアに刺繍すれば、オリジナルの一枚に。柄からデザインした洋服なら、愛着もひとしおです。もちろん、商業用の売り物としても価値が高まります。
バッグや小物類、トートバッグなどにモチーフを刺繍するのもおすすめ。子どもの巾着袋や日用品にも、好きな柄を入れられます。親子で一緒にデザインするのも楽しそうですね。
まとめ
フリーモーション刺繍は、ミシンを使って自由に線や形を描ける創造的な技法です。布送り歯を下げることで布を自由に動かし、絵を描くような感覚で作品を作ることができます。
キレイなフリーモーション刺繍を施すには、適切なミシンの設定と基本的なステッチ練習が重要です。初めは直線や曲線などの基本パターンを繰り返し練習し、徐々に複雑なデザインに挑戦していきましょう。
フリーモーション刺繍は手作りの楽しさを存分に味わえる技法のひとつ。フリーモーション刺繍で、あなただけのオリジナル作品づくりに挑戦してみてくださいね。