コラム

ミシンのメンテナンス方法|長く使うための基本ケアとコツ

2024年12月20日12時19分

ミシンは繊細な機械です。使いっぱなしにすると性能が落ちたり、故障の原因になったりしてしまいます。

「メンテナンスって、大変そう」「機械をいじるのは苦手…」という人でも大丈夫。基本的なお手入れは、使い終わった後の簡単なケアだけです。気になる箇所があるときは、プロの力を借りるのも一つの方法です。

今回はミシンを長持ちさせるための基本的なケア方法と、プロのようなメンテナンスのコツを解説します。

ミシンのメンテナンスが必要な理由

日々の使用で、ミシンの内部には必ず糸くずやホコリが蓄積していきます。放置するとさまざまなトラブルの原因にもなりかねません。ミシンに深刻な故障が起きると、修理費が高額になることも。

まずは定期的なメンテナンスが必要な理由について、確認していきましょう。

1-1. トラブルを防ぐため

ミシンを使っていると、糸絡みや縫い目の乱れといったトラブルも起きますよね。実はこうした問題は、日常的なメンテナンスで防ぐことができます。

縫製中に出る糸くずや布の細かい繊維は、ミシンの内部に蓄積していきます。特に釜周辺には糸くずが溜まりやすく、この状態で使い続けると糸が絡まったり、布送りが悪くなったりするのです。

またミシンの動作部分に付着したホコリは、パーツの動きを妨げる原因のひとつ。縫い目が飛んだり、不揃いになったりするだけでなく、内部パーツの損傷にもつながります。

定期的な掃除と適切なお手入れを行うことで、これらのトラブルを未然に防ぎ、常に快適な状態でミシンを使うことができますよ。

1-2. パフォーマンスを維持するため

丁寧に使っていても、長期間使用したミシンは少しずつ性能が低下します。しかし定期的なメンテナンスを行うことで、購入時の快適な縫製性能を長く保つことが可能です。

内部にゴミやホコリが溜まっていると、ミシン本来の性能を発揮できません。また手入れが行き届いていない状態で使用を続けると、ミシンに負荷がかかり、劣化を速めてしまいます。

適切なお手入れが行き届いたミシンには、こうした負担がありません。布地がスムーズに送られ、美しい縫い目で作業することができます。

ミシンの調子は、作品のできや作業のしやすさに大きく影響します。あまり裁縫が得意でない人ほど、丁寧にお手入れしてあげてくださいね。

1-3. 修理費用を節約するため

ミシンが故障すると、専門家の修理が必要です。トラブルが深刻な場合は新品への買い替えが必要になることも。最初は小さな不具合でも、放置することで故障が進行し、大規模な修理が必要になります。日々のケアで、トラブルの芽を摘んでおくことが重要です。

定期的なメンテナンスは、部品の寿命を延ばすためにも役立ちます。消耗品の交換時期を適切に管理し、内部をきれいに保つことで、高額な修理や部品交換の頻度を減らせるかもしけません。

少しの手間と時間で、長期的には大きな経済的メリットが得られるのです。

ミシンの基本メンテナンス方法

ミシンの基本的なお手入れは、使用後の掃除や油さし、針の交換です。それほど大変な作業ではないので、使うたびに行う習慣にしてしまいましょう。

ミシンの基本のお手入れをまとめました。

2-1. 使用後の掃除

ミシンを快適に使用するための基本は、使用後のお掃除です。時間があるときは、丁寧にお掃除してあげましょう。

必要な道具

お掃除は適切な道具を使うことで、安全かつ効果的に進めることができます。必要な道具は、以下のとおりです。

■柔らかいブラシ(ミシン付属の掃除ブラシなど)

■綿棒

■小型のエアダスター

ミシン専用のブラシがない場合は、化粧筆など柔らかい毛先のブラシで代用できます。硬すぎるブラシは内部パーツを傷つける可能性があるので避けてくださいね。

掃除の手順

お掃除は釜付近からはじめ、細かなパーツをきれいにしていきます。

疲れているときは、できる範囲だけでも大丈夫です。「今回やらなかったところは、次回やろう」というふうに、ずっと手を付けない部分ができないよう、工夫してみましょう。

①釜周辺

電源を切ってから釜カバーを開け、目に見える糸くずやホコリをブラシで丁寧に取り除きます。釜の内側をきれいに掃除しましょう。エアダスターを使用すると、奥に詰まった糸くずも効果的に除去できますよ。

 

②押さえ金、針板と送り歯

押さえ金を上げ、針板を取り外します。針板の溝や送り歯の間には糸くずやホコリが詰まりやすいので、付属のブラシや綿棒を使って丁寧に取り除いてください。

この部分の汚れは縫い目の品質に直接影響するので、特に注意して掃除しましょう。

 

③上糸通し部分

上糸が通る部分を掃除します。ミシンの上部や糸を渡す辺りは、特にホコリが積もりやすい場所です。また糸を通す際に出る細かい繊維も、徐々に蓄積します。

綿棒で優しく拭き取るか、エアダスターで吹き飛ばしましょう。

2-2. ミシン油をさす

ミシン油は、機械の潤滑剤として重要な役割を果たします。適切な注油は、パーツの摩耗を防ぎ、スムーズな動作を維持するために欠かせません。

ただし、使いすぎは逆効果。正しい量と手順で行うことが大切です。

必要な道具

油をさすときには、場所や量を守ることが重要です。慣れないうちは、取扱説明書を見ながら作業を行いましょう。

ほかに必要な道具は、以下のとおりです。

■ミシン専用の油

■余分な油を拭き取るための布

油を抜く布は、端切れなどで構いません。ただし、すでに汚れている布だと、ミシンが余計に汚れてしまうかもしれません。清潔なものを用意しましょう。

油さしの手順

初めて油をさすときは、難しいと感じるかもしれません。ゆっくり、丁寧に作業を行うのがコツです。

①取扱説明書で油をさす箇所を確認

まずは、注油が必要な箇所を確認しましょう。機種によって異なりますが、主に釜周辺や、油が必要なのは、主に回転や摺動部分です。最初に取扱説明書で、油をさす場所を確認してください。

説明書を紛失した場合は、メーカーのウェブサイトで確認するか、販売店にご相談くださいね。

 

②必要な箇所に1~2滴だけさす。

必要な場所に、ミシン油を1~2滴だけさします。このとき、「少なすぎるよりは多めに」という考えは禁物です。

油は少量で十分な効果が得られます。多すぎると、縫製時に布地を汚す原因にもなりますので、注意しましょう。

 

③数回手動で釜を回して、油をなじませる。

注油後は、手動で釜を数回転させます。油が各部分に均一になじみ、潤滑効果を発揮しやすくするためです。

ミシンの操作が重かったり、異音がしたりしていた場合は、この段階で油の効果が感じられますよ。

 

④余分な油を布で拭き取る

最後に、清潔な布で余分な油を拭き取りましょう。特に布地が触れる可能性のある部分は、入念に拭いてください。

注油の頻度は使用頻度によって異なりますが、一般的な家庭用ミシンの場合、月1回程度が目安です。

2-3. 針の交換

ミシン針の状態は、縫製品質に大きく影響します。適切なタイミングでの針交換は作業をしやすくするだけでなく、思わぬ事故も防ぎます。

きれいに見えても、針は定期的に交換しましょう。

交換のタイミング

頻繁にミシンを使う場合、針は1~2週間に1回交換するのが目安です。特にデニムなどの厚手の生地を縫った後は、針への負担が大きくなります。また縫い目が不揃いになってきたり、布地に穴があいたりした場合にも、針の交換が必要です。

古くなった針を使い続けることは、縫い目の品質低下だけでなく、ミシン本体にも悪影響を及ぼします。曲がった針や先端が鈍った針は、内部機構に深刻なダメージを与えるかもしれません。

こまめに交換してあげましょう。

交換方法

針を交換するときは、安全のために必ず電源を切り、プラグを抜きます。新しい針は、お使いのミシンに適合したサイズのものを用意してください。

古い針を取り外す際は、まず押さえ金を上げ、針止めネジを緩めます。その後、古い針を下に引いて外しましょう。

新しい針を取り付ける際は、針の平らな面を後ろ向きにし、針を止め具に当たるまでしっかり差し込みます。最後に、針止めネジをしっかり締めてくださいね。

ミシンの定期メンテナンス

毎回お手入れをしていても、古くなったミシンには、どうしても不調が出てきます。日常のお手入れに加えて、定期的なメンテナンスをしてあげましょう。

3-1. 月に1回のクリーニング

毎日の使用後の掃除だけでは取りきれない汚れやホコリは、月1回の総合的なクリーニングで除去します。ふだんどおりの道具でかまいません。いつもより丁寧に、細かな部分もお掃除することがポイントです。普段は見落としがちなハンドルの周り、モーター部分の通気口、糸立て棒の根元なども入念にお手入れしましょう。

またこのタイミングで、ミシン全体の動作確認も行うとよいでしょう。各部の動きがスムーズかどうかチェックし、違和感があれば、早めに対処してください。

3-2. プロによる点検

自分では発見できない不具合や調整が必要な箇所は、プロによる定期点検で対応します。推奨される点検頻度は1~2年に1回程度(使用頻度による)です。特に古いミシンは、気が付かないうちに部品が劣化していることもあります。安全のためにも、きちんと点検を受けましょう。

プロによる点検では、ミシンの内部まで分解して細部までチェックを行います。内部の部品調整や部品交換、動作確認など、専門的なメンテナンスが可能なのはプロならでは。

特に内部構造のトラブルは、一般の人では対応が難しいことがほとんどです。大きな故障になるまえに、プロに見てもらうのがオススメです。

まとめ

ミシンの寿命は、日常的なケアによって各段に延びます。日々のお手入れを習慣化することが基本です。

また、定期的にプロによるメンテナンスを受けることも大切。トラブルを未然に防ぐことで、いつでも快適にミシンを使えるようになります。

ニコニコミシンでは、プロのスタッフによるメンテナンスや修理を行っています。もちろん、他店で購入したミシンでも大丈夫です。専門のスタッフが、丁寧にご対応いたします。

プロの力を活用しながら、快適なハンドメイドライフを楽しんでください。

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