特殊ミシンとは?プロのクオリティを支える特殊ミシンの種類と用途を解説

ミシンには直線縫いやジグザグ縫いに使う一般的なタイプとは別に、特定の縫製作業に特化した「特殊ミシン」があります。
特殊ミシンを使うと裾上げや端の処理がキレイに仕上がり、市製品のようなクオリティを実現できます。仕事としてミシンを使う人や、もっと素敵な作品作りに挑戦したい人向けの、中級者用ミシンです。
今回はカバーステッチミシンや裾上げミシン、ボタンホーラー、刺し子ミシンなど、代表的な特殊ミシンの特徴をまとめました。特殊ミシンを選ぶときのポイントも解説するので、参考にしてくださいね。
特殊ミシンとは?
特殊ミシンとは、特定の縫製作業や素材に対応するために設計された、専門的なミシンのことです。通常のミシンでは実現できない美しい仕上がりはもちろん、作業を効率化させ、プロ仕様の仕上げを支えます。
特殊ミシンには、カバーステッチミシンや裾上げミシンなど、いろいろな種類があります。プロフェッショナルな縫製を目指すからと言って、すべてのミシンをそろえる必要はありません。
自分のこだわりや作品づくりに必要不可欠なミシンだけを選び、一般的なミシンと組み合わせて、上手に使いこなしてください。
特殊ミシンの特徴
特殊ミシンの大きな特徴は、以下の3つです。
●特定の用途に最適化されている
●より美しく仕上がる
●作業効率があがる
特殊ミシンは、特定の用途に特化した設計になっています。普通のミシンでは難しい細部までキレイにしあがるので、プロフェッショナルな縫製には欠かせません。
また複雑な作業がスムーズに進むことで、作業の効率化も期待できます。たくさんの作品を作るプロはもちろん、忙しい人のハンドメイドでも、ストレスなく縫製作業ができるのも大きな利点です。
主な特殊ミシンの種類と特徴
特殊ミシンには、用途ごとにさまざまな種類が存在します。自分に必要な機能がわからなくなったら、ぜひ専門店のスタッフに相談してみてくださいね。
ここでは代表的な特殊ミシンの種類と、それぞれの特徴について見ていきましょう。
カバーステッチミシン
用途 | Tシャツの裾や袖口の縫製、ストレッチ素材の処理 | |
特徴 |
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おすすめ機種
●ジャノメ トルネィオ796G
ストレッチ素材もラクラク縫える
●ベビーロック BCL-7J BL72S
カバーステッチミシン初、針糸に自動糸調子機能を採用
カバーステッチミシンは、Tシャツの裾や袖口の縫製、ストレッチ素材の処理に特化したミシンです。伸縮性のある生地をキレイに仕上げられます。
縫い目の表側は2本の糸による平行な直線縫いになり、裏側はループ状になるのが特徴です。市販のTシャツなどと同じ仕上がりです。
伸び縮みする素材に対応できるので、スポーツウェアやインナー、水着など、ストレッチ素材を使った作品作りにも重宝します。
裾上げミシン(すくい縫いミシン)
用途 | スラックスやスカートの裾上げ、目立たない仕上げが必要な縫製 |
特徴 | ・生地の裏側に縫い目が隠れる、手縫い風の仕上がり ・既製服やフォーマルウェアの裾上げに最適 |
おすすめ機種
●ベビーロック BL500N
手作業で起こりがちな糸ツレや縫い縮みの心配がなく、薄地から厚地まで対応
裾上げミシン、または「すくい縫いミシン」とも呼ばれるこの特殊ミシンは、スラックスやスカートの裾上げなどに使われるタイプです。生地の裏側に縫い目が隠れるように縫い上げ、表側からは糸がほとんど見えず、手縫いで行ったような仕上がりになります。
既製服やフォーマルウェアの裾上げに重宝するこのミシンは、大人の服を子ども用にリメイクするときなどにもおすすめです。
ボタンホーラー(アタッチメント)
用途 | ボタンホールの自動縫製 |
特徴 | ・均一なボタンホールを自動で縫える ・生地の種類に応じた調整が可能 |
おすすめ機種
●JUKI EB-1
JUKI職業用ミシンに取り付けて使用するボタンホール専用装置(ボタンホーラー)
ボタンホーラーはその名の通り、シャツやブラウス、ジャケットなどのボタンホールを作るための装置です。ミシンそのものではなく、アタッチメントとして、販売されています。
ボタンホールは外からも見える部分なので、できるだけきれいに仕上げたいもの。ボタンホーラーを使えば、均一で美しいボタンホールを自動で縫えます。白いブラウスにカラフルなボタンホール、というアレンジも簡単。
商品としての洋服づくりでも重宝するアタッチメントです。
刺し子ミシン
用途 | パッチワークやキルト、ソーイングなど |
特徴 | 手で縫ったようなやわらかな風合いと安定した縫い目 |
おすすめ機種
●ベビーロック ハンドステッチミシン SashikoII
刺し子ミシンはパッチワークやキルト、装飾的なソーイングに適したハンドステッチミシン。手で縫ったようなやわらかな風合いと安定した縫い目で、普通のミシンとは一味違った仕上がりが特徴です。
キルトの縫い目を手縫い風に仕上げたいときや、やわらかな印象の作品にしたいときにおすすめ。こだわりの作品づくりを実現できます。
特殊ミシンを選ぶときのポイント
多くの場合、特殊ミシンは二台目のミシンとして購入するものです。普通のミシンとは扱いも少し違うので、なにを基準に選べばよいか迷うかもしれません。
ここでは特殊ミシンを選ぶときの4つのポイントを見ていきましょう。
使用用途に合わせて選ぶ
特殊ミシンを選ぶ際、最も重要なのは、用途を明確にすることです。
一般的に、ミシンには家庭用や工業用などの区別があります。今回紹介した機種は工業用ミシンを、家庭向けに調整したミシンです。いずれも一般の人が使いやすいように設計されています。特殊ミシンを選ぶときは、まず主に使うミシンのタイプを確認し、用途に適った組み合わせになるよう考えるとよいでしょう。
ハンドメイドには、家庭用ミシン、職業用ミシンが必要です。ボタンホーラーなどのアタッチメントで調整したり、裾上げ用のミシンや高機能なカバーステッチミシン、刺し子ミシンをそろえたりすると、より作品づくりの幅が広がります。
本格的な作業や大量生産を視野に入れているなら、工業用タイプが便利です。
用途や仕上がりのレベルに合わせた特殊ミシンを選ぶことで、もっと自分らしいソーイングが可能になりますよ。
操作のしやすさとメンテナンス
初めて特殊ミシンを使うときは、扱いやすさも重要です。比較的シンプルな操作で使える機種や、分かりやすい説明書やサポート動画が充実しているメーカーの製品を選ぶとよいでしょう。また購入前には店舗で実際に触れ、操作感や使いやすさを確かめるのがおすすめです。
さらにメンテナンスの容易さも、長く使うためには重要な要素です。内部の掃除や調整が簡単な機種を選ぶと、日常的なケアもスムーズに行えます。
部品の入手のしやすさも大切です。消耗品である針や糸ガイド、ボビンなどがいつでも購入できるよう、販売店舗を確認しておきましょう。家の近くにミシン専門店があれば、一度覗いてみるとよいですよ。
価格帯とコストパフォーマンス
特殊ミシンは一般的なミシンよりも高価な傾向があります。高価だからといって、必ずしも自分にあっているとは限りません。機能や使い心地をしっかり確認し、予算に応じた機種を選びましょう。
すでにプロとしてミシンを使っている人は、やはり上位機種への投資が仕事のクオリティを高めます。
自分のレベルや将来的な使い方も考慮して、予算を組んでくださいね。
メーカーサポートの重要性
特殊ミシンを長く快適に使い続けるためには、サポート体制も大切です。修理やメンテナンスのサービス体制、部品の供給期間、保証内容などは事前にチェックしておきましょう。
特にトラブルが発生した際、迅速で適切な対応を受けられるかどうかは必ず確認する必要があります。
また、使い方や日ごろのメンテナンスに悩んだとき、すぐに相談できる相手がいると安心です。気軽に問い合わせできる窓口やスタッフがいるかどうか、講習等が充実しているかどうかもチェックしておきましょう。
まとめ
特殊ミシンは一般的な家庭用ミシンでは難しい、プロフェッショナルな仕上がりを実現できる専門的な道具です。購入時には使用目的や操作のしやすさ、メンテナンス性のほか、コストパフォーマンスも大きな判断材料となります。
もちろん、サポート体制も大切です。故障時やメンテナンスだけでなく、日ごろから気軽に相談できる環境を作っておくことで、ミシンの楽しみはさらに広がります。扱いの難しい特殊ミシンだからこそ、講習会や、スタッフかのアドバイスが大きな支えとなります。
ニコニコミシンでは、多くの特殊ミシンを扱っています。店頭に出ているミシンは、すべて試し縫いも可能です。経験豊富なスタッフも常在していますので、困ったときにはぜひご相談くださいね。
特殊ミシンの種類と用途を知って、実際に試し、もっともっと自分らしいハンドメイドを楽しんでくださいね。