ミシンのメンテナンス方法|長く使うための基本ケアとコツ

ミシンは繊細な機械です。使いっぱなしにすると性能が落ちたり、故障の原因になったりしてしまいます。
「メンテナンスって、大変そう」「機械をいじるのは苦手…」という人でも大丈夫。基本的なお手入れは、使い終わった後の簡単なケアだけです。気になる箇所があるときは、プロの力を借りるのも一つの方法です。
今回はミシンを長持ちさせるための基本的なケア方法と、プロのようなメンテナンスのコツを解説します。
ミシンのメンテナンスが必要な理由
日々の使用で、ミシンの内部には必ず糸くずやホコリが蓄積していきます。放置するとさまざまなトラブルの原因にもなりかねません。ミシンに深刻な故障が起きると、修理費が高額になることも。
まずは定期的なメンテナンスが必要な理由について、確認していきましょう。
1-1. トラブルを防ぐため
ミシンを使っていると、糸絡みや縫い目の乱れといったトラブルも起きますよね。実はこうした問題は、日常的なメンテナンスで防ぐことができます。
縫製中に出る糸くずや布の細かい繊維は、ミシンの内部に蓄積していきます。特に釜周辺には糸くずが溜まりやすく、この状態で使い続けると糸が絡まったり、布送りが悪くなったりするのです。
またミシンの動作部分に付着したホコリは、パーツの動きを妨げる原因のひとつ。縫い目が飛んだり、不揃いになったりするだけでなく、内部パーツの損傷にもつながります。
定期的な掃除と適切なお手入れを行うことで、これらのトラブルを未然に防ぎ、常に快適な状態でミシンを使うことができますよ。
1-2. パフォーマンスを維持するため
丁寧に使っていても、長期間使用したミシンは少しずつ性能が低下します。しかし定期的なメンテナンスを行うことで、購入時の快適な縫製性能を長く保つことが可能です。
内部にゴミやホコリが溜まっていると、ミシン本来の性能を発揮できません。また手入れが行き届いていない状態で使用を続けると、ミシンに負荷がかかり、劣化を速めてしまいます。
適切なお手入れが行き届いたミシンには、こうした負担がありません。布地がスムーズに送られ、美しい縫い目で作業することができます。
ミシンの調子は、作品のできや作業のしやすさに大きく影響します。あまり裁縫が得意でない人ほど、丁寧にお手入れしてあげてくださいね。
1-3. 修理費用を節約するため
ミシンが故障すると、専門家の修理が必要です。トラブルが深刻な場合は新品への買い替えが必要になることも。最初は小さな不具合でも、放置することで故障が進行し、大規模な修理が必要になります。日々のケアで、トラブルの芽を摘んでおくことが重要です。
定期的なメンテナンスは、部品の寿命を延ばすためにも役立ちます。消耗品の交換時期を適切に管理し、内部をきれいに保つことで、高額な修理や部品交換の頻度を減らせるかもしけません。
少しの手間と時間で、長期的には大きな経済的メリットが得られるのです。
ミシンの基本メンテナンス方法
ミシンの基本的なお手入れは、使用後の掃除や油さし、針の交換です。それほど大変な作業ではないので、使うたびに行う習慣にしてしまいましょう。
ミシンの基本のお手入れをまとめました。
2-1. 使用後の掃除
ミシンを快適に使用するための基本は、使用後のお掃除です。時間があるときは、丁寧にお掃除してあげましょう。
必要な道具
お掃除は適切な道具を使うことで、安全かつ効果的に進めることができます。必要な道具は、以下のとおりです。
■柔らかいブラシ(ミシン付属の掃除ブラシなど)
■綿棒
■小型のエアダスター
ミシン専用のブラシがない場合は、化粧筆など柔らかい毛先のブラシで代用できます。硬すぎるブラシは内部パーツを傷つける可能性があるので避けてくださいね。
掃除の手順
お掃除は釜付近からはじめ、細かなパーツをきれいにしていきます。
疲れているときは、できる範囲だけでも大丈夫です。「今回やらなかったところは、次回やろう」というふうに、ずっと手を付けない部分ができないよう、工夫してみましょう。
①釜周辺
電源を切ってから釜カバーを開け、目に見える糸くずやホコリをブラシで丁寧に取り除きます。釜の内側をきれいに掃除しましょう。エアダスターを使用すると、奥に詰まった糸くずも効果的に除去できますよ。
②押さえ金、針板と送り歯
押さえ金を上げ、針板を取り外します。針板の溝や送り歯の間には糸くずやホコリが詰まりやすいので、付属のブラシや綿棒を使って丁寧に取り除いてください。
この部分の汚れは縫い目の品質に直接影響するので、特に注意して掃除しましょう。
③上糸通し部分
上糸が通る部分を掃除します。ミシンの上部や糸を渡す辺りは、特にホコリが積もりやすい場所です。また糸を通す際に出る細かい繊維も、徐々に蓄積します。
綿棒で優しく拭き取るか、エアダスターで吹き飛ばしましょう。
2-2. ミシン油をさす
ミシン油は、機械の潤滑剤として重要な役割を果たします。適切な注油は、パーツの摩耗を防ぎ、スムーズな動作を維持するために欠かせません。
ただし、使いすぎは逆効果。正しい量と手順で行うことが大切です。
必要な道具
油をさすときには、場所や量を守ることが重要です。慣れないうちは、取扱説明書を見ながら作業を行いましょう。
ほかに必要な道具は、以下のとおりです。
■ミシン専用の油
■余分な油を拭き取るための布
油を抜く布は、端切れなどで構いません。ただし、すでに汚れている布だと、ミシンが余計に汚れてしまうかもしれません。清潔なものを用意しましょう。
油さしの手順
初めて油をさすときは、難しいと感じるかもしれません。ゆっくり、丁寧に作業を行うのがコツです。
①取扱説明書で油をさす箇所を確認
まずは、注油が必要な箇所を確認しましょう。機種によって異なりますが、主に釜周辺や、油が必要なのは、主に回転や摺動部分です。最初に取扱説明書で、油をさす場所を確認してください。
説明書を紛失した場合は、メーカーのウェブサイトで確認するか、販売店にご相談くださいね。
②必要な箇所に1~2滴だけさす。
必要な場所に、ミシン油を1~2滴だけさします。このとき、「少なすぎるよりは多めに」という考えは禁物です。
油は少量で十分な効果が得られます。多すぎると、縫製時に布地を汚す原因にもなりますので、注意しましょう。
③数回手動で釜を回して、油をなじませる。
注油後は、手動で釜を数回転させます。油が各部分に均一になじみ、潤滑効果を発揮しやすくするためです。
ミシンの操作が重かったり、異音がしたりしていた場合は、この段階で油の効果が感じられますよ。
④余分な油を布で拭き取る
最後に、清潔な布で余分な油を拭き取りましょう。特に布地が触れる可能性のある部分は、入念に拭いてください。
注油の頻度は使用頻度によって異なりますが、一般的な家庭用ミシンの場合、月1回程度が目安です。
2-3. 針の交換
ミシン針の状態は、縫製品質に大きく影響します。適切なタイミングでの針交換は作業をしやすくするだけでなく、思わぬ事故も防ぎます。
きれいに見えても、針は定期的に交換しましょう。
交換のタイミング
頻繁にミシンを使う場合、針は1~2週間に1回交換するのが目安です。特にデニムなどの厚手の生地を縫った後は、針への負担が大きくなります。また縫い目が不揃いになってきたり、布地に穴があいたりした場合にも、針の交換が必要です。
古くなった針を使い続けることは、縫い目の品質低下だけでなく、ミシン本体にも悪影響を及ぼします。曲がった針や先端が鈍った針は、内部機構に深刻なダメージを与えるかもしれません。
こまめに交換してあげましょう。
交換方法
針を交換するときは、安全のために必ず電源を切り、プラグを抜きます。新しい針は、お使いのミシンに適合したサイズのものを用意してください。
古い針を取り外す際は、まず押さえ金を上げ、針止めネジを緩めます。その後、古い針を下に引いて外しましょう。
新しい針を取り付ける際は、針の平らな面を後ろ向きにし、針を止め具に当たるまでしっかり差し込みます。最後に、針止めネジをしっかり締めてくださいね。
ミシンの定期メンテナンス
毎回お手入れをしていても、古くなったミシンには、どうしても不調が出てきます。日常のお手入れに加えて、定期的なメンテナンスをしてあげましょう。
3-1. 月に1回のクリーニング
毎日の使用後の掃除だけでは取りきれない汚れやホコリは、月1回の総合的なクリーニングで除去します。ふだんどおりの道具でかまいません。いつもより丁寧に、細かな部分もお掃除することがポイントです。普段は見落としがちなハンドルの周り、モーター部分の通気口、糸立て棒の根元なども入念にお手入れしましょう。
またこのタイミングで、ミシン全体の動作確認も行うとよいでしょう。各部の動きがスムーズかどうかチェックし、違和感があれば、早めに対処してください。
3-2. プロによる点検
自分では発見できない不具合や調整が必要な箇所は、プロによる定期点検で対応します。推奨される点検頻度は1~2年に1回程度(使用頻度による)です。特に古いミシンは、気が付かないうちに部品が劣化していることもあります。安全のためにも、きちんと点検を受けましょう。
プロによる点検では、ミシンの内部まで分解して細部までチェックを行います。内部の部品調整や部品交換、動作確認など、専門的なメンテナンスが可能なのはプロならでは。
特に内部構造のトラブルは、一般の人では対応が難しいことがほとんどです。大きな故障になるまえに、プロに見てもらうのがオススメです。
まとめ
ミシンの寿命は、日常的なケアによって各段に延びます。日々のお手入れを習慣化することが基本です。
また、定期的にプロによるメンテナンスを受けることも大切。トラブルを未然に防ぐことで、いつでも快適にミシンを使えるようになります。
ニコニコミシンでは、プロのスタッフによるメンテナンスや修理を行っています。もちろん、他店で購入したミシンでも大丈夫です。専門のスタッフが、丁寧にご対応いたします。
プロの力を活用しながら、快適なハンドメイドライフを楽しんでください。