コラム

ミシンって難しい?初心者が知っておきたい基本の知識

2025年03月14日10時18分

これから裁縫を始めよう! と思ったとき、最初に悩むのはミシンの使い方かもしれません。ミシンの扱いに慣れるまでは「なんでこうなるの?」と思うことも意外と多いもの。ミシンは精密機械なので、扱いを間違えると、思いもよらないトラブルが起きやすいのです。

とはいえ、基本的な仕組みさえ理解すれば、ミシンを使うのはそれほど難しいことではありません。今回はミシン初心者の方が知っておきたい基本の知識を、わかりやすく解説します。仕組みを知って扱い方がわかれば、ミシンはもっと身近な道具になるはずですよ。

ミシン初心者が知っておきたい基本の仕組み

まずは初めてミシンに触れる人のために、基本的な仕組みと種類について見ていきましょう。ミシンの構造を理解することで、より安心して使い始めることができます。

トラブルの原因も推測しやすくなるので、ミシンの動きについて、しっかり確認していきましょう。

(1) ミシンの構造と動き

ミシンの基本的な部品には、針やボビン、押さえなどがあります。それぞれの役割は、以下のとおりです。

針と糸は、裁縫のために必要な最低限の道具です。針は布地の上から下へ動き、糸を布地に通す道具ですね。手縫いの時にも使用しますが、ミシン針は、手縫いの針とは少し仕組みが違います。

一般的なミシン針は細長い円柱状で、糸を通す穴(針穴)が上先端についています。手縫いの針との大きな違いは、穴の位置です。ミシン針は頭の部分をミシンにはめ込んで使うので、糸を通す穴は下に開いています。

ミシンの針は布地の素材や厚さによって選び分けます。薄手の生地用から厚手のデニム用までさまざまなサイズがありますが、基本的には、厚い生地には太い針を、薄い生地には細い針を使いましょう。

ボビン

ボビンは、下糸を収める小さな円盤状の部品です。専用のボビンケースを使い、ケースごとミシンの内部に設置します。針を落とすことで下糸が上糸と組み合わさり、生地を縫っていくのです。

ボビンに下糸を巻くことは、ミシンを使うための下準備のひとつ。均一に糸を巻くと、きれいな縫い目が生まれます。最初は難しいかもしれませんが、説明書通りに糸を張り、ゆっくり作業すれば、それほど複雑な工程ではありません。焦らずじっくり取り組みましょう。

ボビンをセットしたら、糸調子を合わせます。糸の調子が生地に合わないと、やはりきれいな裁縫は行えません。自動調節機能のついたミシンを使うと便利です。

押さえ

押さえは、布地を安定させる部品です。針板(布地を載せる金属板)の上で、布地をしっかりと押さえます。布送りに合わせて布地が正しく進むように補助する役目です。

押さえがないと生地が正常に送られなくなり、縫い目が動いたり、しっかり縫えなかったりする原因になります。小さな部品ですが、大切に扱ってくださいね。

針と同じく、押さえにもいろいろな種類があります。直線縫い用、ファスナー付け用、ボタンホール用など、作業内容に応じて付け替えて使いましょう。

ミシンの裁縫では、これらの部品が連動して動くことで、丈夫な縫い目が作られます。

針が布地を貫通する際に上糸の輪を作り、その輪がボビンケース内の下糸をすくい上げます。そして布地の中で両方の糸が絡み合うことで、一針分の縫い目が完成するのです。

この動作が高速で繰り返されることで、手縫いよりもはるかに速く、均一な縫い目を作ることができます。

この仕組みは、一般的な家庭用ミシンに共通する基本的な原理です。

(2) 家庭用ミシンの種類

次に、家庭用ミシンの種類を見ていきましょう。家庭用ミシンには、主に以下の3種類があります。

■電動ミシン

■電子ミシン

■コンピューターミシン

各タイプの特徴を、詳しく見ていきましょう。

電動ミシン

最もベーシックな家庭用ミシンです。モーターの力で針を動かし、フットコントローラーや手元のボタンなどで縫う速さを調整します。

直線縫いやジグザグ縫いを中心に、ボタンホールや、修飾用の縫い方に対応したモデルも出ています。操作が分かりやすく、価格も手頃なのが特徴です。裾上げや簡単な小物作りなど、基本的な裁縫作業には十分な性能を備えています。

電子ミシン

より使いやすさを重視したタイプです。液晶画面等のモデルもあり、液晶画面で設定を確認でき、縫い方の選択もボタン操作で簡単に行えます。

電子制御で作動するため、低速でもパワーを一定に保ちます。縫い目の長さや幅も細かく調整でき、より繊細な作業にも対応可能です。また針位置や糸調子も自動で調整される機種が多く、初心者でも失敗が少なく使いこなせます。

コンピューターミシン

最も進化したタイプです。自動糸調子はもちろん、多彩な装飾縫いや文字縫い、ボタンホールの自動作成など、高度な機能が掲載されています。自動糸切りや、返し縫いの自動化など、便利な機能も搭載されたモデルが多いのも特徴。また、液晶画面で縫い目のイメージも確認でき、複雑な模様も容易に縫えるのがポイントです。

また布地の厚さを感知して自動で設定を調整する機能や、縫い始めの速度を自動調整する機能など、より安全で確実な縫製をサポートする機能も備えています。

価格は高めですが、洋服作りや本格的な作品作りを考えている人におすすめのタイプです。

ミシンを選ぶときに考えるべきポイント

ミシンを購入するときは、機能や使いやすさを重視し、長く使える一台を選びましょう。

特に初心者がミシンを選ぶ際は、まず使いやすさを重視することが大切です。針穴への糸通しが苦手なら自動糸通し機能があると便利です。糸調子の自動調整機能もあると、さらに作業が簡単になります。

また操作パネルが見やすく、直感的に操作できるタイプがおすすめです。ミシンの釜は、ボビンが扱いやすい水平釜タイプが良いでしょう。

一方で、機能性の高いミシンは価格も高くなりがちです。機能が複雑になりすぎると、かえって扱いづらくなることもあります。

自分に必要な機能を吟味して、使いやすいものを選びましょう。

ミシンを使う前に知っておくべき準備

ミシンを始める際は、まずは基本的な直線縫いやジグザグ縫いから練習しましょう。ここではミシンを使い始めるために必要な準備を、わかりやすく説明します。

(1) 必要な道具を揃える

ミシンを快適に使うためには、まずは基本的な道具をきちんと揃えることが大切です。道具が不足していると作業が中断してしまいます。最初にまとめて確認し、準備しておきましょう。

ミシン作業に必要な基本的な道具は、以下のとおりです。

■糸

■布

■ミシン針

■ボビン

■はさみ、マチ針など

まずはミシン糸と布を用意します。糸は生地にあわせたものを用意しましょう。一般的な生地であれば、ポリエステル糸を用意すれば大丈夫です。布地の色に合わせて何色か用意し、予備も準備しておくとよいですよ。

またミシン針も、布地の種類や厚さによって使い分けが必要です。標準的な針を中心に、薄地用・厚地用なども揃えておくと便利です。

ボビンは下糸を巻くための重要な部品で、ミシンの機種に合った専用のものを使います。糸ごとに必要になるので、予備のボビンを3〜4個用意しておくのがおすすめ。糸色を変える際にスムーズに作業できます。

布地を裁断するための布切りばさみは、必ず布専用のものを用意しましょう。紙を切るはさみと兼用すると、切れ味が悪くなってしまいます。

その他、布地に印をつけるチャコペンや布地を固定するマチ針、長さを測るメジャーなども必要に応じて揃えます。

これから道具をそろえるなら、基本の道具がセットになった裁縫道具セットもおすすめです。基本的な道具が一通り揃い、収納も簡単です。セットにないものは、個別に揃えておきましょう。

(2) ミシンのセッティング方法

ミシンのセットは、慣れている人にとっても間違えやすいもの。ときどき取扱説明書を見直して、自分のやり方が変わっていないか確認しましょう。

大まかな流れは、以下のとおりです。

①上糸・下糸のセット

②押さえ金の確認

③作業環境の最終確認

まずは上糸をセットします。糸は決められた順番で通していきます。糸をかける順番が違うと、縫い目が乱れる原因になります。多くの場合、ミシン本体に案内が記載されていますので、確認しながら作業してください。最後に、針穴に糸を通しましょう。

次に下糸の準備です。事前に使用する糸ごとに、ボビンに下糸を巻いておきます。ボビン糸を巻いたボビンをケースにセットし、取り付けましょう。

この時、糸の出る向きや張力が適切かどうかも忘れずに確認してください。ボビンケースはカチッと音がするまでしっかりと差し込みます。

押さえ金は、縫う作業に合わせて適切なものを選びます。標準的な直線縫い用の押さえ金を取り付ける際は、しっかりとレバーを下ろして固定しましょう。押さえ金が正しく装着されていないと、縫い目が乱れたり布地を傷めたりする可能性があります。

ミシンの設置場所の確認も重要です。ミシンを動かす前に、作業環境の最終チェックを行いましょう。

ミシンは机や専用台の上に置きます。手で軽く揺らしてみて、安定性を確認しましょう。ガタつきがある場合は、脚の下に厚紙や専用のマットを敷くとよいですよ。

また手元が見やすいよう、十分な明るさを確保します。窓際など自然光の入る場所か、デスクライトで明るく照らせる場所を選びましょう。

糸切用のはさみやマチ針を使いやすい場所に配置すれば、準備万全です。

まとめ

基本的な知識さえ身につければ、ミシンは決して難しい道具ではありません。セッティングや道具の準備も、一度覚えてしまえば大丈夫。糸や針が変わっても、基本的な扱い方は同じです。まずは直線縫いやジグザグ縫いなど、基本的な縫い方からじっくり練習してみましょう。

必要な道具を揃え、正しいセッティングを心がければ、安心して使い始めることができます。少しずつできることを増やしながら、あなただけのミシンライフを楽しんでくださいね。

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