コラム

知らないと損!ミシンのオイルケアの重要性とやり方

2025年02月03日11時03分

ご自宅のミシン、最近調子がおかしくなっていませんか?

「縫い目が綺麗に揃わない」「動きが重い」「音が気になる」などのミシンのトラブルは、メンテナンス不足が原因かもしれません。ミシンのメンテナンスでは日ごろの掃除のほか、オイルケアが重要な役割を果たします。

今回はミシンを長く快適に使うための重要なオイルケアについて、詳しくみていきましょう。

ミシンオイルケアを知っていますか?

「ミシンの調子が悪い」「動きが鈍い」「音が大きくなった」…。こうしたトラブルは、定期的なオイルケアで防ぐことができるかもしれません。

ミシンのオイルケアとは、いわゆる「油を差す」作業です。ミシンは機械ですから、定期的に油を差す必要があります。日々の掃除にプラスして、ぜひ定期的に行ってほしいお手入れです。

一方で、「オイルケアって難しそう」「どこにオイルを差せばいいのかわからない」と不安に感じる方もいるかもしれません。機械に油を差す作業は、専門的なメンテナンスに感じますよね。

ミシンのオイルケアには、いくつかのポイントがあります。手順を確認し、ゆっくりと行えば、慣れない人でも正しく作業を行えますよ。

オイルケアを行うとミシンは本来の性能を発揮し、快適な縫い心地を維持することができます。愛用のミシンを長く、快適に使うためのオイルケアの基本について見ていきましょう。

なおミシンによってはオイルケアが不要なものもあります。オイルケアを行う前に、機種の仕様を確認してださいね。

なぜミシンのオイルケアが必要なのか?

ミシンにとって、オイルケアはとても重要なメンテナンスです。定期的に油を差すことには、さまざまなメリットがあります。

オイルケアが必要な主な理由は、以下の3つです。

①摩耗を防ぐ

②動きをスムーズに

➂音を軽減する

それぞれ詳しく見ていきましょう。

摩耗を防ぐ

ミシンは見た目以上に精密な機械です。内部には数多くの金属パーツが組み込まれ、それぞれがかみ合いながら、高速で動作しています。

内部のパーツは、縫い物をする度に接触し、摩擦されます。この摩擦が積み重なると、徐々にパーツは消耗します。特に釜や送り歯、天秤など、頻繁に動く部分は摩耗のリスクが高いパーツです。

摩擦による消耗は、部品の劣化を招きます。長く放置され、消耗し続けた部品は、大きな故障につながることも少なくありません。それを防ぐのが、いわゆる機械油です。ミシンでは、専用のミシンオイル(ミシン油)を使用します。

ミシンオイルは、摩擦による消耗を軽減する役割を持っています。オイルを差し、パーツ同士がスムーズに稼働すると、過度な摩擦がなくなるのです。その結果、パーツの寿命が延びてミシン本体も長く使えるようになります。

定期的なオイルケアは、ミシンを長持ちさせるための基本的かつ重要なメンテナンスと言えるでしょう。

動きをスムーズに

きちんとオイルケアされたミシンとそうでないミシンとでは、動作の滑らかさが大きく異なります。

オイルケアが足りないとミシン内部の摩擦によって動きが鈍くなり、縫い目が不揃いになったり、布送りにムラが出たりするのです。

一方適切なオイルケアが行われているミシンはパーツが無理なく動き、布送りも均一で、美しい縫い目になります。特にデニムなどの厚手の生地や高速での作業では、その違いが顕著です。

またスムーズな動きは、糸のからみや切れを防ぎ、快適な作業のためにも役立ちます。オイルケアはパーツの寿命を延ばすだけでなく、作品の仕上がりも大きく左右するメンテナンスなのです。

音を軽減する

ミシンから「ガタガタ」「キーキー」といった不快な音が出るようになったら、それはオイル不足のサインかもしれません。

内部の潤滑が不十分だと、金属パーツ同士の摩擦により大きな音が発生します。この音は作業の集中を妨げるだけでなく、ミシンに負担がかかっている証拠です。

適切なオイルケアを行うと、ミシンは本来の静かな動作を取り戻します。

小さい子供がいる人や夜間に縫い物をしたい人にとって、ミシンの音は気になるところ。そうでない人にとっても、金属のこすれる音は深いですよね。

快適な作業環境を維持するためにも、定期的なオイルケアが欠かせないのです。

故障を未然に防ぐ

オイル不足の状態で使い続けると、ミシンは部品の劣化が急速に進みます。最悪の場合には、重大な故障につながるかもしれません。ミシンが故障した場合には、専門家による修理が必要になります。

ミシンの修理費用は、意外と大きな出費です。完全に故障してしまうとパーツも交換しなくてはいけません。そうなれば、費用はさらに大きくなります。日頃からの適切なオイルケアは、こした予期せぬ出費を防ぐことにもなるのです。

ミシンを長く使い続けると、部品の劣化は避けられません。大切に使っていてもいつかはパーツが古くなり、買い替えが必要になる時期が来ます。一方で適切にオイルケアを行っていれば、部品は摩擦が少なくなって長持ちします。

適切に油を差すことで部品の寿命が長くなり、買い替え時期を遅らせることにもつながるのです。

ミシンオイルケアの具体的な手順

ミシンのオイルケアは、それほど複雑な作業ではありません。しかしいくつかのポイントを押さえておかないと、期待した効果が得られないこともあります。

ここからはオイルケアの具体的な手順は、以下のとおりです。

①ミシンを掃除する

②オイルを差す場所を確認する

➂適量のオイルを差す

各手順を、詳しく解説していきます。

なお作業を始める前にはミシンオイルのほか、ブラシや清潔な布など、掃除用の道具も用意してくださいね。

1. ミシンの掃除から始める

まずは電源を切り、電源プラグを抜いてから作業を始めましょう。針やボビンの蓋部分を外し、内部に溜まったホコリや糸くずを丁寧に取り除きます。付属のブラシを使って、釜周りは特に入念に掃除しましょう。

糸くずが奥深く入り込んでいる場合は、掃除機の細いノズルを使うと効果的です。ピンセットがあれば、絡まった糸くずも簡単に取り除けます。

オイルの効果を最大限に引き出すためには、丁寧な清掃作業が重要です。掃除は普段のケアの基本でもありますので、やったことがないという人は、この機会に習慣にするのがオススメです。

メーカーによっては、分解清掃のための専用工具が付属している場合もありますので、説明書で確認してみましょう。

2. オイルを差すべき場所を確認する

ミシンには、オイルを差すべき特定の箇所があります。必ず説明書やマニュアルを参照し、注油点を確認しましょう。

一般的には、釜や送り歯、天秤など、金属部分が動く箇所が対象となります。機種によって注油箇所は異なりますので、ご自身の機種の説明書で確認してくださいね。

釜周りの注油点は見落としやすいので、ライトで照らしながら慎重に確認しましょう。

3. オイルを適量差す

いよいよオイル注入です。ポイントは「オイルの適量に気を付ける」こと。

オイルは、少なすぎると効果を発揮しません。またオイルが多すぎると、裁縫中に布を汚す原因となってしまいます。1箇所につき1〜2滴を目安に、慎重に油を差しましょう。

慣れないうちはオイル差しの先端を注油口にしっかりと合わせ、ゆっくりと押して一滴ずつ出すと失敗が少なくて済みます。

なお専用のミシン油以外は絶対に使用しないでください。一般的な機械油は粘度が異なり、ミシンに悪影響を及ぼす可能性があります。

4.ミシンを動かして馴染ませる

オイルを差したら、ゆっくりとハンドルを回して油をパーツに馴染ませます。オイルが各部に均一に行き渡るように、じっくり念入りに動かしておきましょう。

オイルが馴染んだら、次は不要な布切れで試し縫いをします。白っぽい色の布を使うと、余分なオイルの確認がしやすくなりますよ。オイルが染み出てきた場合は余分をふき取り、もう一度試してみましょう。

オイルをなじませるときは、速すぎず遅すぎない、適度な速さでハンドルを回すことが重要です。オイルがミシン全体に馴染み、試し縫いの布も汚れなくなったら、最後の仕上げです。

5.オイルケア後の仕上げ

最後に清潔な布で、余分なオイルを丁寧に拭き取ります。針板や送り歯の周りは、布に汚れが映りやすい場所です。入念に拭き上げましょう。試し縫いのときに布が汚れたときには、特に丁寧に拭いておきます。

きれいに拭き取れたら、各パーツを元の位置に戻します。余裕があれば、もう一度動作確認をしてみましょう。

今度はいつもと違う異音がしないか、縫い目は綺麗に揃っているかも併せて確認しておきます。もしも違和感があったら、オイルが違うところへ入ってしまったかもしれません。まずは使用を中断し、専門店に相談しみてみましょう。

ミシンオイルを差すのは月に数回、頻繁に使う場合は週に1回程度が目安です。定期的なメンテナンスで、ミシンを快適な状態に保ちましょう。

まとめ

ミシンのメンテナンスにおいて、オイルケアは非常に重要な役割を果たします。適切なオイルケアはミシンの寿命を延ばし、快適な縫い心地を保つことにも貢献します。また故障の予防や、総合的な修理費用の節約にもつながります。

オイルケアの基本的な手順は、以下の3ステップです。

①丁寧に掃除する

②適切な箇所に適量のオイルを注入する

➂しっかり馴染ませる

基本を押さえてゆっくり作業を行い、正しくオイルを差してください。

近年のミシンの中には、オイルケアが不要な機種も増えてきています。必ずお手持ちのミシンの説明書やマニュアルを確認し、適切なケアの方法を確認してください。

「やってみたけど、うまくいかなかった」「オイルを差すのは難しそう…」という人は、一度専門店に相談するのもオススメです。ミシンのプロは、失敗しやすい箇所や作業のコツも知っています。プロのアドバイスを受けることで、より適切なケア方法が身に付きますよ。

定期的なケアを行って、大切なミシンをより長く、より快適に使い続けましょう。

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